JR415系1500番台

JR EAST series"415-1500"

 401系に端を発する交直流近郊型電車シリーズの最終モデル。

 415系のうち1986年以降の製造分からは直流近郊型電車211系とおなじ軽量ステンレスボディにモデルチェンジし、1500番台を名乗るようになった。車体こそ新しくなったが、足回りは従来の鋼製車体の415系と共通にされており併結運転もできた。常磐線では新系列の台頭により鋼製車・ステンレス車ともに引退して久しいが、JR九州内では令和の時代を迎えながらも現役で活躍している。

 415系1500番台は交直流近郊型電車の代表作であるだけに大手各社から製品化されており、KATOとTOMIXはだいぶ昔から211系の塗替え品がロングセラーとなっており、今も昔もベースとなる車両の進化とともに進化しながら発売されている。広義に415系とすると先述の2社に加えてマイクロエースとウィンの製品があるが、後述の両社はともに1500番台は製品化していない。


JR415系1500番台

編成表

 

◇勝田電車区K880編成(2005年頃の組成)

JR415系1500番台

基本のお手入れ

 

■床下機器の交換

 1500番台は415系鋼製車のマイナーチェンジ車として、当時同時に製造されていた211系のボディなどを取り入れて軽量化などを図った番台。

在来車との併結を考慮して主要機器は変更せず製造されたので、バージョンアップしたのはいわゆる『ガワ』の部分だけ。

 一方でTOMIXの415系1500番台は211系の塗替え品ということで、ボディはまだしも床下機器が大きく違う。非常に専門的な部分の話をすると、211系は当時205系で実績のあった界磁添加励磁制御を採用し、抵抗器は自然冷却式のものを採用していた。415系は101系をベースに交流区間でも利用できるように調整したものを採用したため、主抵抗器は101系や415系の鋼製車と同じ自然冷却式とは形の違う強制通風(風冷)式を装備している。見た目の話でいえば、TOMIX的造形では113系や115系で採用している床下機器がおおむね正解。もっとも直流用の機器なので突き詰めていけば△印かもしれないが、211系の床下機器よりはマシである。113系や115系の床下機器を流用している415系鋼製車の製品をベースに211系のボディと台車を履かせて発売すればよかったんじゃないかとは思うのだが、もうこの状態で数十年きたので今更変えることもしないのだろう。

 今回はモハ415-1500に装備されている主抵抗器だけ交換した。TOMIXの床下機器も流用が多く、今回は113/115系の主抵抗器を備えるモハの床板を大本の103系から拝借。種者はまだボディまでネジが貫通するタイプの相当古いロットの製品だったが、新集電台車に短いビスを採用する415系1500番台でも全く問題なく装着することができた。製造年代が大きく違くてもパーツの共通性の高さがTOMIXのよいところか。ここでは中古品を流用しているが、破損時の交換用パーツや機器色の変更などのために別売りも盛んに行われているので新品を調達するほうが容易であろう。

 ■先頭部ジャンパ管設置

 415系1500番台の211系と違う点のもうひとつが仙台方先頭部のジャンパ栓。これも在来の鋼製車との併結運転によるものだが、TOMIXやKATOにはそれがないので追加する作業もお手軽なディテールアップとして有名である。この作例ではグリーンマックスの113系用に用いられるパーツを調達し取り付けた。KATOが近年の115系新系列用にジャンパ管のパーツをASSYとして用意しているが、各形式の塗色になっているほか素材の都合上で塗料が乗りにくく使いにくいことがある。

 

 ■後期型の特徴

 今回の作例の415系1900番台とお供を組むのは、1500番台では後期型にあたる下2桁34番の編成だ。後期型には側面幕よりも妻面側にも帯が続いているため、前期型で造形されている車体にインレタで帯を追加した。細かい違いではあるが側面で連続する帯の見た目が楽しい。


クハ415-1901

Tc415-1901

 1991年登場の常磐線乗車定員増強の立役者となる予定だった2階建て先頭車。

 実験的な要素を込めて415系1500番台の最終ロットとして製造された同車は、1989年から製造が開始された211系用2階建てグリーン車をベースに座席のグレードを下げた普通車を仙台方に組み込んだ組成で登場した。普通車であることからドアは通常の1500番台とおなじ両開きであるほか、ドア付近にロングシートを配置し通勤利用としての装備を多く取り揃えていた。ただ客室は増えてもドアの数は減っているので、乗降時間増による遅延は避けられず製造はこの1両のみに。しかし実験で得た技術はのちにオール2階建ての"DDL(Double Decker Liner)"215系に引き継がれている。当時のJR東日本は乗車定員増強と編成のコンパクト化を2階建て車両によって両立することで大量輸送に備えていたのだが、結果的にはドア数の減少で通勤列車には活かせなかった。常磐線では後に日本初の交直流通勤型電車E501系を投入している。

 

 1500番台のお供・・・というか、415系そのものが651系の引き立て役・・・?ここでの立ち位置はそのくらいだったのだが、この車両が完成した瞬間そのへんの感情が吹っ飛びました。ひさびさの力作となった形式。

 本体はDMM.makeで投稿されていたデータを購入して製作したもの。モデル自体はさいどらいんや東京堂などといったキットメーカーから製品化がありましたが、どれもいまや高価になっているのでカンタンに入手できるのはDMM.makeのみ。ただデータは個人投稿なのでいつ公開終了になるかもわからないのでURLなどはここでは掲載しない。気になる方は個人的に探してほしい。キット自体はグリーンマックスの板キットのように組み上げられるので比較的簡単である。ほかに床板と前面窓やスカートにKATOの211系製品のもの、ライトユニットにグリーンマックスの211系製品のもの、クーラーキセにマイクロエースの215系製品のものをそれぞれ使用している。大手各社のものを寄せ集めて作っているオールスターのような作例だ。素材の関係でボディに厚みがないので、窓ガラスははめ込みでない塩ビ板を貼付している。曲面ガラスとなっている客室2階部分には鉄道コレクションのブリスターパッケージの曲面の角度が合致するので、適当なサイズに切り取って貼り付けた。特徴的な模様の青帯は世田谷車輌センターのインレタを使用し見栄え良く再現している。


サハ415-1601

T411-1601

 クハ415-1901を作成するとどうしてもついてくる本当の意味での付随車。

 上掲の編成表に表すK880編成の編成中間に挟まる同車は、常磐線中距離電車の編成長大化にともなって1両のみ製造された1形式1両の付随車。クハ-モハ-モハ-クハの4両1組でのみ製造されていた1500番台のなかでも、編成の中間に入ることの多いクハ車の使用頻度の低い運転台を省略し同時に新製した4両編成と半固定組成にする目的で中間車として製造された。組み換え用にこちらも1形式1両のみステンレスボディで製造されたサハ411-1701とは車内の座席配置が異なり、1701は編成を組む鋼製車にあわせセミクロスシートだが1601は1500番台と編成を組むためロングシートであった。床下機器は上野方先頭車と同じ構造。

 -1601をモデルとして製品化すると同時に-1901が必要になる仕様なので製品化された経験のない付随中間車両のひとつ。一方で-1701は鋼製車7両編成の編成中央に挟まるサハとして組成されていたので、そちらとしては役に立つことであろう。ちなみに外見上の違いはほぼない。今回の作例では211系のモハ211をベースに、帯色を変えて再現した。種車は中央本線神領電車区にいた名古屋シティライナー色の同形式で、窓上の帯色の変更の必要がないので中古で用意した。MGとCPを搭載している関係で中央ドア付近には通風孔があるが、これがモハ211にはなく、モハ415には別位置に2箇所ついているので別に設置する必要があり、今回はBトレインショーティのステッカーを使用し再現している。お手軽に雰囲気だけ楽しむならモハ415を調達してきてもおおむね問題ないだろう。


JR415系1500番台

まとめ

 ここまでさまざまなバリエーションのある415系のなかでも1番個性的な編成を作例としてご紹介してきた。

 上掲の編成表では"K880編成(2005年頃の組成)"としているが、新製当時から2004年頃までのK880編成はクハ415-1901の次位にモハ415/414-1535を挟んだオールステンレスの編成だった。2004年後半にモハユニットが鋼製車のモハ415/414-535に差し替えられて作例の編成となる。ちなみにその後2005年半ばにサハ411-1601がこちらも鋼製車のサハ411-713へと差し替えたのち、2006年の運用離脱まで活躍していたようだ。なので写真の姿でいた期間はそう長くないが、製作するにあたってこの組成がいちばん華があるように思えたので採用した。2階建て先頭車から鋼製車ユニット→1形式1両のステンレスサハ→ベーシック組成の1500番台とつづき、ひとつとして同じ見た目の車両がなく実におもしろい編成である。また15両運転を再現するために併結相手として鋼製車の7連を用意している。銀・白・銀・白・白...と流れる車体色が楽しい。


JR415系1500番台

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