JR東日本 E653系1000番台

East Japan Railway Company - Series"E653-1000"

 1997年デビューの特急型車両。

 それまでの常磐線特急を担っていた485系を置き換えるため登場。なお”ひたち”のうち速達タイプはすでに651系に置き換えられて“スーパーひたち”と名を改めて活躍しており、E653系は停車タイプ用として残る485系と交代し新たに“フレッシュひたち”と名を冠して活躍した。その後E657系の登場により651系ともども置き換えられるが、E653系はリフレッシュしていわき~仙台間の新たな特急に就く…はずだったのだが、東日本大震災の影響でその計画が白紙となり、のちに羽越線特急“いなほ”として活躍していた485系を置き換えるために新潟へと居を移すことに。

 新潟転属後は先頭車に常磐線時代にはなかったグリーン車を追加し車体色も一新。1000番台となり日本海縦貫特急のニューフェイスとして活躍。また北陸新幹線の金沢開業に合わせて旧信越本線区間などを走る“しらゆき”にもE653系が抜擢。コンパクトな4両編成が専用の塗装で走る。

 E653系が常磐線から去ってしばらく経った2019年、改造され新潟で運用していた1000番台のうち1編成を波動用編成として使うため、かつて活躍していた常磐線に戻るというサプライズがあった。485系を思い起こさせる国鉄特急色を纏い、常磐線時代と同じ勝田車両センターに所属しK70編成として団体臨時列車やイベントなどで活躍している。

JR東日本 E653系1000番台

編成表

 Nゲージではマイクロエースが比較的昔から製品化しており、編成毎に異なる塗色をしていたE653系を細かく発売している。ここはイロモノが得意なマイクロエースのなせる業だろう。しかし、それに殴り込みをかけてきたのがまさかのグリーンマックスで、シャーシや動力を一新した新たな製品シリーズの第1弾として企画された。後発ということもあり前面の難しい造形も含め仕上がりは素晴らしく、それまでマイクロエース一強だったところに衝撃を与えた。満を持して開発された“コアレス動力ユニット”も好評で、その後のグリーンマックス製品の標準装備となった。両メーカーとも現在はフレッシュひたち時代の各塗色だけでなく、いなほやしらゆき仕様、勝田転属後の国鉄特急色を製品化した。


JR東日本 E653系1000番台

ディテールアップ

 国鉄特急色を纏い常磐線に返り咲いたK70編成。先述の両メーカーから製品として発売されているが、ここで紹介するのはグリーンマックス製品。手抜き一切なしで造形された先頭部のデザインはとてもよく再現されており、実車の写真と見比べても遜色ない。

 構造の簡素化からか、大まかなところは共用パーツで済まされがちなグリーンマックス。シャーシや動力ユニットは仕方ないとして(性能が良いのでヨシ)、走行しているときに目に触れる部分くらいはディテールアップしたい。ということで、前照灯の色分けと4号車の車内パーツ改善、パンタグラフの交換を紹介する。

ヘッドライト色調分け

 黒色のひょうたん型ライトケースに収まる前照灯は向かって内側が電球で外側がHIDという配置になっているが、製品ではどちらも白色LEDが同じプリズムで導光されているので、内側のプリズムに表から黄色系の塗料を筆塗りした。プリズム自体はライトユニット内ですぐに合流しているので、ライトユニット内でプリズムに着色すると前照灯がすべて黄色くなってしまう。また前面窓上にも同様に電球色で光る灯火(フォグ?)があるので、同色を使いプリズムを着色した。

 前照灯の色味は好みや実際に車両を見た時の印象差によるところが大きいので、各自研究の上ディテールアップしてほしい。

[4号車]座席配列正当化

 E653系7両編成の4号車は車端部に多目的スペース(旧車販準備室)や身障者対応の大型トイレ、車掌室を備えた編成内唯一のサハ車で、同編成内の他の中間車に比べて客用ドアが中央寄りにオフセットされているのが特徴だ。もちろん製品でも車体は再現されているのだが、案の定シャーシは中間車ですべて共用なのでドアや車掌室の前にも問答無用で座席が表現されている。これでは乗降できないので正当化しよう。

 なにも難しいことはなく、ドア手前のところで座席を終わらせればいいので切り取った。特に端末処理などもしていない。ちなみに共用パーツとは言うものの、シャーシと動力はこのE653系製品から初採用の新機軸なのでシートピッチ等はE653系として正当である。4号車は3号車寄り車端から14列なので、数えてカットしても良い。なお14列目は車いす対応席なので通路側BC列座席を切り落とすとさらにディテールアップになる。軟質なプラ素材なので加工は容易。なおかつ固定用ツメは失わないのでそのままシャーシに戻すことができる。

パンタグラフ交換・ホーン塗装

 JR九州817系とこのE653系にはじまったグリーンマックス交流型電車シリーズだが、この方ずっとパンタグラフは専用品が作られず、別パーツのガイシ+PT71Bという組み合わせで生産されている。もともとグリーンマックスのパンタグラフは造りが甘いということもあるので、もう少しカッコいいパンタグラフに交換してしまおう。

 実際のE653系に付くパンタグラフはPS32という交直両対応のもので、左右にまっすぐ大きく開いた2本ホーンが特徴。Nゲージ界ではマイクロエースの同形式製品に搭載されているものでしか製品化されたことがない。調達するのも困難なので近似しているものを探したところ、TOMIXのC-PS27N型という製品を工房の在庫から発見。TOMIX製品のJR東海313系に搭載されている形で、工房では名鉄車の交換用に購入したものの、その特徴的な直線ホーンが目立つので交換を中断(一部はすでに交換)し在庫していた。まさかこんなところで直線ホーン役に立つとは思わなかった。

ちなみに1000番台改造後はホーンが赤(ピンク?)色に塗装されているので塗ってあげるとアクセントになる。フレッシュひたち時代は不明なので各自研究。C-PS27N型は取付脚にガイシのモールドがあるため、思いのほか取付穴に入っていかない。力をかけすぎて折らないように気を付けよう。

その他ディテールアップ

方向幕貼付け

 グリーンマックス製品の側面方向幕部分はモールドと黒色印刷表現にとどまっているため、方向幕ステッカーを貼った。サードパーティメーカーもしくはマイクロエース製品のものを用意するしかないのが難点。ここで貼っているのはマイクロエース製品。

車体色隠ぺい

 国鉄特急色は車体色が黄色っぽく、窓フチなどからはみ出て見えていると目立つので前面窓周辺を黒色で筆塗りし隠した。もちろん国鉄特急色だけでなくほかの塗色もベースカラーが明るい色ばかりなので、気になるようであれば隠すといいかもしれない。側面は大変だが、少なくとも前面窓上下内側に見えるボディカラーだけでも隠せるとグッとカッコよくなる。

 また前照灯の収まるひょうたん型の車体開口部内側は製品では車体色で塗装されており、車体の厚みがモロに見えてしまうので黒色で塗装しライトケースとしての一体感を出した。

 

・・・が、これが大きなミスだった。

のちにこのページを作るにあたって国鉄特急色の実車写真を確認したところ、内側は車体色のまま。

しらゆき用1100番台やフレッシュひたちの時代は黒っぽかったのに・・・

みんなは各自作りたい編成や時代をよく研究してから工作しよう。失敗しても自己責任だ。



 勝田でも、新潟でも485系の置き換えとして配属され、新潟から帰ってきた暁には485系風の国鉄特急色とされ、それまで485系が担っていた波動用編成のポジションに就いた。交直流両対応、加えて周波数50Hz/60Hz両方にも対応しているE653系は、485系の後継にふさわしいユーティリティプレイヤーである。

 

おわり

JR東日本 E653系1000番台

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