名古屋鉄道 8500系

Nagoya Railroad - Series"8500"

 キハ8500系は1991年登場のディーゼル特急型車両。

 名鉄の北陸直通列車の歴史は古く、戦前にはすでに犬山線から高山本線への直通列車が運転されており好評を博していたという。戦時中は自然消滅となるが、1965年には専用車両キハ8000系を使用した直通準急"たかやま"が新名古屋(現:名鉄名古屋)~高山間で運行を開始し復活。その後急行へ格上げし列車名も"北アルプス"へと変更されると、運行区間が飛騨古川まで延長された。加えて夏季限定で富山地方鉄道の立山駅まで直通するようになり、国鉄を挟んで私鉄線同士で直通するという前代未聞の運行形態がとられた。またこの時期は間合い運用で富山地方鉄道線内の特急列車も代走するという働きぶりだった。夏季の延長運転はあまり長くなかったが、富山直通はJR化後もしばらく行われていたようだ。

 全盛期だった立山直通時代に特急への格上げを経て、1991年にこのキハ8500系を登場させた。パノラマスーパーを彷彿とさせる車内や丸みを帯びた側窓のデザインを持ちつつ、キハ8500系より数年前にデビューさせていたJRキハ85系との併結ができるように、走り装置や前面デザインを統一させた。デビュー後は神宮前や新名古屋(現:名鉄名古屋)から鵜沼連絡線経由で高山まで運用され、美濃太田~高山間の多くは特急"ひだ"と併結していた。最終的には利用者減少による運行コストの増大もあって"北アルプス"は2001年に廃止し、同時にキハ8500系も職を失い会津鉄道へ売られていったが、現在は会津鉄道からも退き各々が第3の人生を送っている。"電鉄会社のディーゼルカー"はさまざまな結果を残して去っていった。

 


名古屋鉄道 8500系

編成表とお手入れ内容

   

 JRキハ85系をベースとした本系列はワイドビューシリーズの一員として数えることもできるかも?しれない。

 模型ではまず事業者限定品のディスプレイモデルとして"AnRail(アンレール)"というブランドで発売された。中国製の甘いモールドと小さい体をしていながら、それに似つかわしくない価格をつけられていて、発売と同時に買いに走ったファンたちは頭を悩ませていたようだ。当時の購入レポートやレビューのブログがそれを物語っている。今後以下で紹介するのはこのAnRail製品。先人たちの知恵を大いに取り入れて、なんとかそれっぽく見せた一品である。ちなみにAnRailはこのあと"AnRail next"として、これと似たクオリティのJRE721系シリーズを世に送り出している。

 AnRail発売からしばらくしてからマイクロエースが完成品として企画発売している。腐ってもマイクロエースだし、もちろんAnRailよりかっちりしたものをライト・動力付で提供してくれているので現在の主流はマイクロエース製品だ。名鉄と会津鉄道移籍後の2種が発売されているが、中古市場でも名鉄としての製品は割とレア品となっている。会津鉄道移籍後も概ね外観に変更点はないので名鉄仕様に戻すこともできるかもしれないが、北アルプスにおいては重要な中間車がないのであまり意味がないかも。

名古屋鉄道 8500系

AnRailをなんとかする

 上掲写真の左が製品ママ、右がディテールアップ後。

 ナインゲージでいえば昔はキオスクでも売っていたトレーンというダイカストモデルが有名だが、そのあたりに近い印象を受けるこの商品。Nゲージとして遊ぶにはそれ相応の工作が必要で、鉄道コレクションのように一筋縄では行かない。今回はディテールアップを主として行ったために、足回りの加工は完全に他のブログ様などを参考に工作しているのでそちらを参照してほしい。全体的にパーツが他社車両より一回り小さいので、製品を最大限活かして走行化するには台車の車軸受けを追加で彫るなど大掛かりな工事が必要になる。実車の走り装置はJRキハ85系と同じなので移植できれば一番なのだが、それも小ささゆえに難工事だ。

 ディテールアップは前面を中心に行っている。特にイジったのはライトケースで、丸角になっていたのをデザインナイフで彫り込んだ上でライト部に色を入れた。それ以外では前面窓の縁と貫通扉、スカートのジャンパ栓まわりに黒色を差し、床下機器を汚しただけ。とにかくボディも床下機器も輪郭線の甘い製品なのでそれをいかに隠せるかにかかってくるし、そこさえどうにかなればそれ以外は製品状態をそのまま生かすことができるだろう。我ながらよくできたと思うディテールアップである。

 側面はドアゴムの色差しと表記類のみ追加している。

 この写真では汚した床下機器がよく見れると思うが、成型色が残念なだけでモールドはとても立派なものが成形されている。ここでは再塗装が面倒だったのでTOMIXから発売されているウェザリングペンで塗って終わりとしている。ちなみに床下機器の支持方法や台車の構造は鉄道コレクションに酷似しており、カプラーポケットなどは鉄道コレクションのものが取り付けることができる。動力ユニットはワイドビューな側窓を避けるために本体の加工が必要だが、床下機器と台車枠はそのまま付けられる。

 車番はグリーンマックス製品のインレタを適当に並べて配置。方向幕は製品付属のデカールを貼付している。製品には車番も含めてデカールが同梱されているが発色はあまりよくないし、インクジェットプリンタで製作されたのか白色が表現できておらず透過になってしまっており、方向幕は先に貼付箇所を白色に塗装してからデカールを貼るように指示がある。

名古屋鉄道 8500系

JRキハ85系と連結する

 キハ8500系で最大限遊ぶには不可欠なJRキハ85系との併結。連結器をなにに統一するかが大きな問題になる。

 KATOから製品化されているキハ85系は"KATOナックルカプラー"と呼ばれるベテランのカプラーが台車につく。一方で連結相手のキハ8500系はこのAnRailかマイクロエースなので、床板にはTOMIXのTNカプラーがセットできるステーが予め用意されている。今回の作例ではキハ85系とともにTNカプラーに置き換えることで解決した。マイクロエースが自社開発している"マイクロカプラー"のナックルタイプはKATOカプラーと無加工で連結ができるのだが、連結器の胴受の表現がないこともあって今回の結果に落ち着いた。主にキハ8500系と相対したキハ85系貫通前面には国鉄キハ40系などに用いられるジャンパ管付きのものを設置。ジャンパ管や連結器本体を前面に出すためにスカートを割と大きめに削る必要がある。それ以外の非貫通先頭車やキハ8500系は床板が幅狭のため、名鉄シリーズではおなじみパノラマカー7000系用の品番JC0380と汎用密自連型の品番0375のニコイチを使用。電連付き密自連をGMの名鉄5700系や6000系列などに用いるのにJC0380連結器+0375胴受で作るのはあまりにも有名だが、ここで使うのは作れば作るほど用途がなくあぶれていく余り物のほう。AnRailのキハ8500系のスカート開口部には示し合わせたかのように胴受がぴったりハマる。余り物の使いみちはここにあった。なお紹介した上記カプラーの支持方法はすべてゴム系接着剤で、いまのところ使用には問題ない。心配ならビス止めでも問題ないとは思うが、キハ85系のライトプリズムが床板近くに迫っているので傷めないように注意したほうがいいかもしれない。

 キハ8500系の中間車には鉄コレの動力を組み込んでいるが、お互いにソフトな走りをする動力同士の鉄コレ+KATOはおおむね問題なく走行する。キハ8500系単独での名鉄線内間合い特急なども多かったので動力は入れておきたいけど動力の統一は難易度が高い...という人はキハ85系をたくさん用意しておくのが吉だ。名鉄8500系より柔軟に1両単位で組み替えて運転するので普段のひだ号では動力車にしているところを同番台のトレーラー車にスイッチすると協調問題は解決する。併結運転開始時のひだ号は繁忙期臨時便だったのもありあまり長大な編成ではなかったようなので力不足もせずに済むかもしれない。もっとも試していないので、このあたりは各人で実験してみてもらいたい。逆にキハ8500系も中間車が1両しかいなかったので先頭車のみの編成で代走もしていたみたいだし深く考える必要もないかも。

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