名古屋鉄道 キハ30系

Nagoya Railroad - Series"DC30"

 名鉄式軽快気動車の最終形態。

 輸送量の少ない区間の合理化による電化廃止のため投入したキハ10系から続くディーゼルカーシリーズの最後発型式。2軸レールバスではさすがに輸送力に難があったのか、転換3セクに多く導入されていた軽快気動車と同じスタイルのものを選択。加えてドア数を3つとし、輸送力を高めた。運賃箱で運賃収受することが前提のワンマンカー用気動車でドアが3枚あるのは他では見聞きしたことがない。のちに使用していた線区がいずれも廃線となり引退。すべて海外へ売られたようだがあまり使用実績は良くないようである。


名古屋鉄道 キハ30系

製作記

 レールバスそのものがあまり製品化実績のないNゲージ界隈で、同系列の中で特にオリジナリティの高いこのキハ30系は製品化とは程遠いであろう。ここではガレージキットメーカーkitcheN製のコンバージョンキットを用いて製作している。

 キットはTOMIXから発売されている同系列の一般的な形態である2つドアのスタイルから側板を取り替える方式。今回の種車は樽見鉄道ハイモ295形と、毎号ついてくる付録を組み立ててジオラマを作りあげる週刊誌の応募者全員プレゼントになっていた里山交通(架空)のキハ2001。どちらも中古で安価に手に入れた。形式こそ違うがどちらも同じ形態。種車のバリエーションが多いのは助かるポイントだ(入手しやすいかどうかは置いておいて)。  

○車体の組み立て

 残念なことに製作中の写真がほとんど残っていない。ここは個人的な悪い癖なのだが、組み立てが順調に進むと調子に乗ってしまうので他のことを忘れてしまう。モデラーとしてはいいことなのかもしれないが・・・

 

気を取り直して

 

 ボディは説明書にしたがって雨樋のラインで側板を切り取った。その後裏打ちと貼り合わせた新しい側板と合わせる。接点が雨樋となるため段差はあまり目立たなくなるが、コンバージョンキットの経験が少ないわたしには厚みも素材も違う板を貼り合わせるのはすこし難しかった。その後継ぎ目をすべて埋め、不自然な凹凸が出ないように調整。天井との塗り分けも種車とは位置が変わるので、ここで屋根パーツも一緒に接着してボディとすべて一体にしてしまう。ここでみんなまとめることでボディの歪み防止にもなる。

 製品のエッチングパーツには前サボ差しも付属している。前面貫通扉に渡り板のモールドがあるため、本来は削り取ってから取り付けがいいはずだが、手抜きでそのまま上からかぶせた。あまり目立たないのでよかった。

 上の写真は先で述べた工程をすべて終え下地をアイボリー系で塗装したところ。

○塗装

 それぞれの窓まわりだけを赤で塗りつぶしているキハ30系の特徴的な塗色は、スプレー塗装では水平が取りづらいなど限界があった。そこで今回はベースのクリーム色のみ塗装で再現し、スカーレットの部分はデカールを作成し貼付した。

 上の写真は、左がスプレー塗装にて再現したもの。右がPCで作成したデータをインクジェットデカール用紙に印刷して各所に貼付したもの。ご覧の通り、この車両の意匠では塗りつぶされた四角形の角が丸く処理されており、マスキングのみで再現するより正確に表現することができた。またPCで作成した1つのデータをデカールで必要数印刷しているため、常に意匠の寸法を一定にすることが可能となり、見栄えも向上した。加えて写真ではよく見えないが、名鉄のコーポレートロゴも位置を合わせてスカーレットとともに印刷しているためレタリング類もお手軽に再現できる。

○仕上げ

 最後に各種パーツを取り付けた。

 屋上機器・前面窓ガラス・ライトユニット・シャーシは元の製品のものを戻すことができる。側板裏面にはシャーシ固定ツメの接着位置ガイドがあり、元の製品の窓ガラスから固定ツメだけ切り取り、ガイドに沿って接着することでシャーシが固定できる。前面窓ガラスが回り込んだ側面すぐのところにエッチング側板との接点があるため、前面窓ガラスとライトユニットを戻すときに離れてしまわないように注意が必要。

 その他、スカートは専用のものがキットのエッチング板にセットされているため組み立てて取り付け。渡り板は先述の通りサボ差しで隠してしまったので、グリーンマックスの適当なものを塗装のうえ取り付けた。カプラーは台車との距離が非常に近いため、TNカプラーだと品薄なことの多い特定の製品しか取り付けられないため、台車とのクリアランスが十分取れるマイクロエース製のマイクロカプラーを採用。アームが長いため、連結しても渡り板同士が干渉することなく走行できるようになった。

名古屋鉄道 キハ30系

完成

 コンバージョンキットというものをまともに組み立てたことがなかったが、全体にさっぱりと組み立てることができた。もちろんグリーンマックスの組立キットなどのように甘やかしてはくれないし、個人的には仕上がりはいまいちだが、完成したときの満足感はとてもあって楽しかった。


名古屋鉄道 キハ30系

車両

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名古屋鉄道 キハ30

フォトギャラリー

 経営の厳しいローカル区間をなんとかして維持しようとしていた苦労が垣間見える、名鉄のレールバスシリーズ。

 最終的に路線は廃止もしくは電車に戻すという結末になったが、キハ30系が登場し、車両が新しく・大きくなったときにはどんな希望の光が見えていたのだろうか。

 

おわり

(令和4年8月)


  

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