名古屋鉄道 7300系

Nagoya Railroad - Series"7300"

※画像は 横浜西部急行(@yokohamawestern)様 保有編成
※画像は 横浜西部急行(@yokohamawestern)様 保有編成
 7300系は"AL車"と呼ばれた、いわゆる吊り掛け駆動方式・間接自動制御車の機器を流用して当時のパノラマカーと同等の車体を新造し1971年にデビュー。当時大所帯だったAL車の車両更新や旅客向けサービスの向上に一役買った。サイドビューこそパノラマカーそのものだったが、展望席のない切妻車体に加え吊り掛け駆動方式特有の大きな音を立てて走る姿に、"似非(エセ)パノラマカー"と揶揄されることもあったのだとか。4両編成と2両編成が製造され、三河線などの支線系統へと直通する特急用車両として活躍を開始。その後も増備を継続し大規模な更新を目論んでいたものの叶わず、30両のみという比較的小さな所帯にとどまり、以後は7000系や7700系といった新性能車の増備に方針転換した。
 晩年は他のAL車とともに各線で活躍し1997年に引退。その後は大半が1500V昇圧を控えていた豊橋鉄道渥美線に譲渡されるも、渥美線ではAL車の特性を活かせず、わずか5年で全車引退という衝撃的な最後を迎えた。現在一部が個人に引き取られてどこかで余生を送っているのだとか。

名古屋鉄道 7300系

編成表と工作内容

 

7205   7305

7202    7402   7452   7302


 パノラマカーの仲間ながら切妻車体は長らく発売されなかったので、一時期お得意だったクロスポイント製キットが唯一の製品だった7300系。その後鉄道コレクションの第27弾で初めて完成品として製品化。仕上がりも上々のようで、過去に製品化されている名鉄AL・HL車やTOMIXブランドから発売しているパノラマカーシリーズと並べられるので、往時の名鉄を再現できるバリエーションが広がった。ちなみにパンタ付き(モ7300)とパンタなし(ク7200)のそれぞれ先頭車両のみがブラインドパッケージにて製品化されたため、中間車のあった4両編成は再現できない。


工作記録

名古屋鉄道 7300系

■ライト点灯化

 7300系は上部に前照灯3灯と下部に標識灯と尾灯共用が2灯という特殊な配置だが、同じ配置の7700系がグリーンマックスから完成品として発売されているため、そのライトユニットを調達して組み込んだ。前照灯は3灯ともボディ後方へ穴が抜けていないので1mmピンバイスで開口し、左右2灯にはライトユニットのプリズム先端を切り取ったものを前方から差し込んだ。中央1灯も同様にプリズムは切り落とすが、こちらは既存のガラスパーツを戻すだけでOK。グリーンマックス製品のほうがスケールがわずかに大きめなので、前照灯はそのままで裏からプリズムを通すことはできなかった。またライトユニットが収まる部分の天井板なども現物に合わせて削り取る必要がある。

 上写真のうち下段が改造後。プリズムを切り離してしまった分だけ前照灯は明るさが落ちるので、周辺に銀テープを貼るなどの対策をしておくのが良さそう。標識灯はそもそもプリズム自体が極細なのでおまけ程度だが、同じプリズムを通る尾灯はとてもハッキリと光る。

 集電化にはライトユニットと同様グリーンマックスのコアレス動力世代の床板をバルクパーツで用意。鉄コレ車両のうち床板との固定ツメがボディ側にモールドされている車両ではその床板が小加工で組み込むことができる(一部例外もありそう)。座席パーツと床下機器を取り外した床板から移植し、突起などを取り去って接着。台車には形状が(当時在庫のあった台車の中では)類似していて、なおかつ床板に対応するスナップ式台車として"FS345形"ミンデン台車を採用。もともとはグリーンマックス製品の阪急2800系が履く形だ。

 7300系はデビューからしばらく種車由来の"D18形"イコライザー台車を使用していたが、その後順次"FS36形"ペデスタル式台車に交換されている。この製品ではデフォルトに"D-18形"に類似したD形タイプの台車が装着されている。今回採用した"FS345形"はどちらかといえば"FS36形"に近いため、今回の工作によって台車交換後の様子が再現されたことになる。

●ライト点灯化-7302Fでの変更点

 後発となった7302Fでは加工内容の一部を変更したので簡単に追記する。

 7305Fでヘッドライトが暗くなってしまったことを対処すべく、前面上部中央の前照灯の開口寸法を大きくしてライトユニットのプリズムを切り取らずに直接通し、シールドビーム化後を再現するとともに光量UPを実現した。ライトユニットの種車であるGM製7700系としても元々オーバースケールなプリズムではあるのだが、開口部の違和感はそこまででもない。

 また台車を変更しD-18形に類似したD形タイプを装備した。KATO製のスナップ式で、ホビーセンターカトー東京の前に鎮座する京急230形を製品化したときの台車ASSY。採用した台車のメーカーは違えど集電化やライトユニット組込みの方法は7305Fの時と全く同じで、スナップ式台車はGMもKATOもボルスターの仕組みがほぼ一緒で互換性があるため、今回の台車違いによる加工の差異はない。

 AL車は点灯化して差をつけよう!(現役当時は日中無灯火なことが多いのはさておき)

■中間車の作成

 7300系は7301Fから7303Fまでの3編成が4両編成で活躍していた。

 7302Fでは7305Fに続く2編成目として差別化を図るために中間車を作成し組み込んだ。先述の通り中間車は製品化されていないので厳密には再現できないが、今回は中間にほぼ同じボディ形状をもつ7000系を改造し編入することで再現した。ちなみにココ(横浜西部急行様)から着想を得たが、TOMIXのHG製品を用いたそちらとは異なり、旧製品を用いることでコストカットと加工手順の簡素化を図った。

 もちろんボディの精度などは近年の水準の製品のほうがいいのは当たり前だが、ここであえて旧製品を採用した理由は"屋根上"。7300系の中間車は7000系の後期型に近く、装備するクーラーも集約分散式。よって比較的初期の車両を主にプロトタイプとするTOMIXのHG製品とは屋上機器の配置が違い(分散式)、正解に近いのは旧製品ということ。屋根上が一体成型で屋上機器の塗装がしにくいという難点もあったが大きな加工なく進めることができた。ボディは両先頭車も含め再塗装のみで、車番は新たにクロスポイント製のインレタを貼付。パンタ付き中間車には鉄コレ動力を組み込み単独走行を可能にした。パンタなし中間車のシャーシは先頭車同様のGM製床板+KATO台車の組み合わせ。

 左写真の後部車両が今回編入させた中間車。再塗装のおかげもあり違和感なく7300系に見せることができたと思う。

 また7000系がプロトタイプの中間車にあわせて先頭車の窓枠を銀色に変更した。7300系も登場時は特急列車としての使用を主に考えられていたために窓枠も含めてパノラマカーに準ずる装備や装飾でデビューしていた。のちにミュージックホーンも撤去され、いつしか窓枠も黒色系のHゴム押さえに変えられていたという。


保有編成一覧

名古屋鉄道 7300系

■7305F

 7305Fは鉄道コレクションの製品プロトタイプの編成。

 ボディにある表記類の印刷は車番だけで非常にシンプル。コーポレートロゴは他系列同様1990年代初頭に追加されているようなので、再現したい年代に合わせて追加すると良いだろう。上掲のライト点灯化改造を済ませている。

■7302F

 4両固定で活躍した3編成のうちのひとつ。豊橋鉄道譲渡後も一貫して4両編成だったという。

 先頭部のカプラーを変更し開放テコやジャンパ線の再現されたTNカプラー(JC6374)になった後の姿。このJC6374は元々ブルートレインの電源車に使用する形状のもの。塗装の手間はあるが、AL車に準ずる混み合った特徴的な連結器まわりを再現できる。先発の7305Fも7302F落成後に同型のカプラーに換装した。


名古屋鉄道7300系

フォトギャラリー


  

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